「労働・社会保険関連の法改正」の要点と実施スケジュールのまとめです。
1. 年次別・主要法改正ロードマップ
2026年(令和8年)
- 4月〜
- 女性活躍推進法の情報公表拡大:従業員101人以上の企業に対し、「男女間賃金差異」および「女性管理職比率」の公表が義務化されます。
- 在職老齢年金の見直し:働いて所得がある厚生年金受給者の年金支給停止基準額が、50万円から65万円に引き上げられます。
- 高年齢者・両立支援対策:高年齢労働者の特性に配慮した作業環境整備や、治療と仕事の両立支援措置の実施が事業者の努力義務となります。
- 子ども・子育て支援金:健康保険料と併せて徴収が開始されます。
- 7月・8月〜
- 障害者法定雇用率の引上げ:法定雇用率が2.7%へ引き上げられます(7月〜)。
- 高額療養費制度の改定:自己負担限度額の見直しとともに、長期療養者向けの年間上限額が新設されます(8月〜)。
- 10月〜(労務・雇用管理の重大改正)
- カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化:顧客や取引先等からの悪質な言動に対する方針明確化、相談窓口の整備、抑止措置が事業主に義務付けられます。
- 求職者等に対するセクハラ対策の義務化:就活生やインターンシップ生等に対するセクハラ防止措置(方針周知や相談窓口整備)が義務化されます。
- 同一労働同一賃金ガイドライン改正・労働条件明示:雇い入れ時の労働条件通知書等に「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨」の明示が必要になります。また、賞与・退職金、各種手当(家族手当・住宅手当・無事故手当等)や休暇における不合理な待遇差の禁止基準が厳格化されます。
- 社会保険(厚生年金・健康保険)の賃金要件撤廃:短時間労働者の加入要件のうち月額賃金8.8万円以上要件が廃止され、週20時間以上勤務する労働者は原則として社会保険の適用対象となります。
- 国民年金保険料の育児免除:自営業者やアルバイト等の第1号被保険者を対象に、子育て期間中の保険料免除制度が導入されます。
2027年(令和9年)
- 1月〜
- 個人事業者等の業務上災害報告制度:同一場所で作業する個人事業者等が業務上で死亡または4日以上休業した場合、直近上位の注文者等に労働基準監督署への報告が義務付けられます。
- 標準報酬月額の特例:療養・育児・介護に伴う就労調整で報酬が急減した場合、初月の給与を基礎として翌月から標準報酬月額を改定できる制度が始まります。
- 4月〜
- 定期健康診断項目の見直し:診断項目から「喀痰検査」が削除され、「血清クレアチニン検査(腎機能)」が追加されます。
- 労災保険制度の見直し:遺族補償年金において夫にのみ設定されていた受給要件(55歳以上等)が撤廃されます。また、脳・心臓疾患、精神疾患等の特定疾病に関する労災請求の消滅時効期間が2年から5年に延長されます。
- 9月〜10月〜
- 厚生年金 標準報酬月額上限の引上げ:上限額が現在の65万円から段階的に(68万円[2027年9月] → 71万円[2028年9月] → 75万円[2029年9月])引き上げられます。
- 社会保険適用事業所の拡大(第1段階):企業規模要件が「従業員51人以上」から「36人〜50人」の企業へ拡大されます(2027年10月〜)。
2028年(令和10年)以降
- 2028年4月〜
- ストレスチェック実施義務の全事業場拡大:従来50人未満の事業場で努力義務とされていたストレスチェックが、従業員数にかかわらず全事業場で義務化されます。
- 遺族厚生年金の男女差解消:子どものいない20〜50代の配偶者に対する給付が原則5年間の有期給付へと改定されます。
- 2028年10月〜
- 雇用保険の適用拡大:被保険者要件である週所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」へ大幅に引き下げられ、短時間労働者の加入対象が広がります。
- 2029年10月〜2035年10月(社会保険適用拡大のロードマップ)
- 従業員規模に応じて、以下の通り社会保険(厚生年金・健康保険)の適用対象企業が段階的に拡大されます。
- 2029年10月〜:21人〜35人規模の企業
- 2032年10月〜:11人〜20人規模の企業
- 2035年10月〜:10人以下の事業所へ全面拡大
- 従業員規模に応じて、以下の通り社会保険(厚生年金・健康保険)の適用対象企業が段階的に拡大されます。

