| 項目 | 内容 |
| 指標の概要 | ・計算式:現金・預金残高 ÷ 毎月の平均支払額 ・「現在の現金だけであと何ヶ月支払いを続けられるか」を示す ・一般企業では「資金繰り余力(月数)」、スタートアップではランウェイと呼ばれる ・財務分析の4分類(収益性・安全性・生産性・成長性)のうち「安全性分析(短期の資金繰り)」に該当 |
| 計算例 | ・現金預金1,200万円 ÷ 毎月の支払い300万円 = 4ヶ月 ・収入がゼロになっても約4ヶ月間は支払いを維持可能という意味 |
| 重要性 | ・利益が出ていても現金が底を突くと起こる「黒字倒産」を防ぐため ・決算書の分析とは異なり、「今、お金が何ヶ月持つか」という実務的な安全性を把握できる |
| 毎月の支払いの内訳 | ・含めるもの(実際に現金が出る支出):人件費、家賃、外注費、仕入代金、水道光熱費、借入返済(元金・利息)、税金、社会保険料など ・含めないもの:減価償却費などの非現金費用 |
| 目安(評価基準) | ・1ヶ月未満:非常に危険 ・1~3ヶ月:注意 ・3~6ヶ月:標準 ・6ヶ月以上:比較的安全 ・12ヶ月以上:非常に安定 ※業種や事業モデルにより適正水準は異なる |
| 類似指標との違い | ・現預金月商比(現預金÷月商):売上に対する現金保有額を見る指標 ・流動比率 / 当座比率:貸借対照表を基にした1年以内の支払能力を見る指標 ・バーンレート:毎月減少する資金のペースを見る指標(主に赤字スタートアップ用) ※本指標は「毎月の支払い」で割るため、直接的な資金繰り余力が分かる |
| 経営者が毎月確認するメリット | ・資金ショートの兆候を早期発見できる ・融資のタイミングや固定費削減の必要性が分かる ・設備投資や採用の可否を正確に判断できる ・「利益より現金」を重視した経営習慣が身につく |
1. この指標とは
計算式
現金・預金残高 ÷ 毎月の平均支払額
この計算により、
「現在の現金だけで、あと何か月支払いを続けられるか」
が分かります。
つまり、
会社や家計の資金繰りの安全性を示す非常に分かりやすい指標です。主にスタートアップで用いる指標で、一般企業では「資金繰り余力(月数)」として考えます。
2. 計算例
現金預金 1,200万円
毎月の支払い 300万円
計算すると
1,200万円 ÷ 300万円=4か月
つまり
収入が全く入らなくなっても約4か月は支払いを続けられる
という意味になります。
3. 経営分析での位置づけ
経営分析には一般的に
- 収益性
- 安全性
- 生産性
- 成長性
の4つがあります。
この指標は
「安全性分析(短期の資金繰り)」
に位置付けられます。
決算書だけでは分からない
“今、お金が何か月持つか”
を把握できるため、
経営者には非常に重要な管理指標になります。
4. なぜ重要なのか
利益が出ていても、
現金がなくなると支払いができません。
これが
黒字倒産
です。
そのため経営では
利益よりも現金
を見る必要があります。
この指標は
「あと何か月会社が安全に経営できるか」
を示してくれます。
5. 類似指標との違い
| 指標 | 何を見るか | 特徴 |
|---|---|---|
| 現金残÷毎月の支払い | あと何か月支払えるか | 実際の資金繰りを見る実務的指標 |
| 流動比率 | 1年以内の支払能力 | 決算書による安全性分析 |
| 当座比率 | すぐ現金化できる資産で支払えるか | 流動比率より厳しい指標 |
| 現預金月商比 | 売上に対して現金がどれだけあるか | 現金保有水準を見る指標 |
| バーンレート | 資金が毎月どれだけ減るか | 主に赤字のスタートアップ企業で使用 |
ここで注意したいのは、
「現金残÷毎月の支払い」と「現預金月商比」は別の指標ということです。
現預金月商比は
現預金 ÷ 月商
であり、
売上に対する現金保有額を見るものです。
一方、
今回の指標は
現金 ÷ 毎月の支払い
なので、
**資金繰りの余力(月数)**を直接示します。
6. 毎月の支払いに含めるもの
毎月の支払いには、
- 人件費
- 家賃
- 外注費
- 仕入代金
- 水道光熱費
- 借入返済(元金・利息)
- 税金
- 社会保険料
など、
毎月現金が出ていく支出を含めます。
減価償却費のような
現金が出ていかない費用は含めません。
7. 目安
絶対的な基準はありませんが、
一般的には
| 資金繰り余力 | 評価 |
|---|---|
| 1か月未満 | 非常に危険 |
| 1~3か月 | 注意 |
| 3~6か月 | 標準 |
| 6か月以上 | 比較的安全 |
| 12か月以上 | 非常に安定 |
業種や事業モデルによって適正水準は異なります。
8. 経営者が毎月確認すべき理由
この指標を毎月確認することで、
- 資金ショートの兆候を早期に発見できる
- 融資を受けるタイミングを判断しやすい
- 固定費削減の必要性が見える
- 設備投資や採用の可否を判断しやすい
- 利益ではなく現金を重視した経営ができる
ようになります。
まとめ
「現金残 ÷ 毎月の支払い」は、正式な財務分析指標ではありませんが、経営者にとって極めて実践的な管理指標です。
この指標は、「現在の現金だけで何か月支払いを続けられるか(資金繰り余力)」を示し、会社の短期的な安全性を判断するのに役立ちます。決算書で用いる流動比率や当座比率が貸借対照表上の安全性を評価するのに対し、この指標は実際の資金繰りの余裕を把握できる点が特徴です。
利益が出ていても現金が不足すれば会社は倒産する可能性があるため、経営者は利益だけでなく、この資金繰り余力を毎月継続的に確認することが重要です。

