外国人雇用ガイド~外国人材を安全かつ適正に雇い入れ、企業と労働者の双方を守るための労務・法務プロセス~

分類項目概要と役割今すぐできる具体対応(ToDo)
第1章1. 外国人雇用の適法性チェック不法就労を未然に防止するため、入管法および労働関係法令を遵守することが必須です。知らなかったでは済まされず、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。在留カード等読取アプリでICチップを読み取り真正性を確認する
・在留カードの表面(就労制限の有無)と裏面(資格外活動許可)を確認する(留学生等は週28時間以内
・採用・離職時は翌月末日までにハローワークへ外国人雇用状況届出を提出する
第1章2. 在留資格と業務内容の確認保有する在留資格の範囲内でのみ就労可能です。主たる業務が在留資格に適合している必要があり、恒常的な単純労働のみの担当は認められません。・業務内容を書き出し、主たる業務と在留資格の一致を確認する
・転職者の場合は必要に応じて就労資格証明書を取得する
第1章3. 技人国・特定技能の運用採用で最も多い在留資格です。
技人国:IT、設計、営業等。学歴・職歴と業務の関連性が必須。
特定技能:介護、製造、建設等の人手不足分野が対象。
・【技人国】日本人と同等以上の給与水準を整備し、学歴等と業務の関連性を整理する
・【特定技能】支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するか決定し、定期・随時届出を期限内に提出する
第1章4. 外国人雇用リスク診断定期的な点検により、法令違反、在留期限切れ、労務トラブル、定着率低下を未然に防止します。・氏名、在留資格、期限等を網羅した在留資格管理台帳を作成し、期限3か月前にアラートを出す
労働条件通知書を母国語ややさしい日本語で多言語化する
第2章1. 育成就労制度への対応技能実習制度は廃止され、育成就労制度へ移行予定です。制度変更を見据えた受入体制づくりが求められます。教育計画評価制度を整備する
特定技能へのキャリアパスを設計する
第2章2. 労働関係法令の遵守外国人であることを理由とした不当に低い給与、残業代未払い、社会保険未加入は不可です。国籍による不合理な待遇差を設けてはいけません。日本人と同様の評価制度を導入する
・労働基準法の遵守および社会保険・労働保険へ適正加入する
第2章3. ハラスメント防止・文化・宗教への配慮文化の違いによるパワハラや差別を防止し、ハラール、礼拝時間、宗教行事などへの配慮が重要です。ハラスメント研修異文化理解研修を実施する
社内相談窓口を設置する
第2章4. 日本語教育とキャリア形成定着率向上のためには、日本語能力の向上と将来のキャリア形成支援が重要です。日本語教育支援JLPT取得支援を行う
昇給・昇格基準の明確化や資格手当制度を導入する
第2章5. 防災・安全衛生災害時に適切な行動が取れるよう、わかりやすい形で安全情報を提供する必要があります。・多言語ややさしい日本語による防災マニュアルを作成する
避難経路掲示緊急連絡網整備避難訓練を実施する
第3章社内運用チェックリスト外国人雇用における必須確認プロセスの一覧です。在留カードの読取アプリ確認
就労資格・資格外活動許可の確認
在留期限管理(3か月前の本人案内)
主たる業務の適合確認
労働条件通知の多言語・やさしい日本語化
賃金・待遇の不合理差解消
社会保険・労働保険の加入
ハローワークへの届出
特定技能支援体制の整備
防災対応日本語教育・キャリア支援の実施

1.外国人雇用の適法性チェック

概要と役割

外国人を雇用する際は、出入国管理及び難民認定法(入管法)および労働関係法令を遵守し、不法就労を未然に防止することが重要です。

  • 在留カードの真正性確認(偽造カード・在留期限の確認)
  • 就労可能かどうかの確認(在留資格・資格外活動許可)
  • 外国人雇用状況の届出(ハローワーク)

事業主は、就労資格を十分確認せずに外国人を雇用した場合、不法就労助長罪に問われる可能性があります。「知らなかった」では済まされず、適切な確認を行うことが重要です。


今すぐできる具体対応(ToDo)

在留カードを確認する

  • 出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリ」でICチップを読み取り、真正性を確認する。

就労可否を確認する

  • 在留カード表面「就労制限の有無」
  • 裏面「資格外活動許可」の有無
  • 留学生・家族滞在は週28時間以内などの制限を確認する。

ハローワークへ届出

  • 採用・離職した場合は翌月末日までに「外国人雇用状況届出」を提出する。

2.在留資格と業務内容の確認

概要と役割

外国人は保有する在留資格の範囲内でのみ就労できます。

業務内容と在留資格が一致しているか確認することが重要です。

例えば

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 特定技能
  • 高度専門職

など、それぞれ従事できる業務が異なります。

また、

主たる業務が在留資格に適合している必要があります。

専門業務に付随する軽微な単純作業は認められますが、恒常的に単純労働のみを担当させることは認められません。


今すぐできる具体対応(ToDo)

担当業務を整理する

  • 業務内容を書き出し、主たる業務が在留資格と一致しているか確認する。

転職者は就労資格証明書を検討

必要に応じて、入管が発行する「就労資格証明書」を取得すると、適法性確認に役立ちます。


3.技術・人文知識・国際業務(技人国)・特定技能の運用

概要と役割

外国人採用で最も多い在留資格が

  • 技術・人文知識・国際業務(技人国)
  • 特定技能

です。


(1)技人国

対象

  • ITエンジニア
  • 設計者
  • 営業
  • 経理
  • 通訳
  • デザイナー
  • マーケティング担当

など

要件

  • 学歴・職歴と業務内容との関連性
  • 日本人と同等以上の報酬

(2)特定技能

対象

人手不足分野

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建設
  • 自動車整備
  • 造船・舶用工業
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 林業
  • 木材産業
  • 自動車運送業
  • 鉄道

(制度改正により対象分野が追加されています。)

企業には

  • 支援計画の実施
  • 登録支援機関との連携(必要な場合)
  • 入管への各種届出

などが求められます。


今すぐできる具体対応(ToDo)

【技人国】

✅ 日本人と同等以上の給与水準を整備する

✅ 卒業証明書・成績証明書等を確認し、業務との関連性を整理する


【特定技能】

✅ 支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するか決定する

✅ 入管が定める最新の定期届出・随時届出を期限内に提出する


4.外国人雇用リスク診断

概要と役割

外国人雇用について定期的に点検し、

  • 法令違反
  • 在留期限切れ
  • 労務トラブル
  • 定着率低下

などを未然に防止します。


今すぐできる具体対応(ToDo)

在留資格管理台帳を作成

管理項目

  • 氏名
  • 在留資格
  • 在留期限
  • 担当業務
  • 資格外活動許可
  • パスポート期限
  • 更新予定日

期限3か月前にアラートが出るよう管理します。


労働条件通知書を多言語化

必要に応じて

  • 母国語
  • やさしい日本語(必要に応じてルビ付き)

で説明します。


第2章 外国人雇用における重要な留意点

1.育成就労制度への対応

ポイント

技能実習制度は廃止され、育成就労制度への移行が予定されています。

企業は制度変更を見据えた受入体制づくりが求められます。

対応策

  • 教育計画の整備
  • 評価制度の整備
  • 特定技能へのキャリアパス設計

2.労働関係法令の遵守

ポイント

外国人であることを理由に

  • 不当に低い給与
  • 残業代未払い
  • 社会保険未加入

などは認められません。

国籍による不合理な待遇差を設けず、職務・能力・責任に応じた適正な処遇を行う必要があります。

対応策

  • 日本人と同様の評価制度
  • 労働基準法等の遵守
  • 社会保険・労働保険への適正加入

3.ハラスメント防止・文化・宗教への配慮

ポイント

外国人との文化や価値観の違いから、

  • パワーハラスメント
  • 差別
  • コミュニケーション不足

などが起こる可能性があります。

また

  • ハラール
  • 礼拝時間
  • 宗教行事

への一定の配慮も重要です。

対応策

  • ハラスメント研修
  • 異文化理解研修
  • 相談窓口の設置

4.日本語教育とキャリア形成

ポイント

定着率向上には

  • 日本語能力
  • 将来のキャリア

が重要です。

対応策

  • 日本語教育支援
  • 日本語能力試験(JLPT)取得支援
  • 昇給・昇格基準の明確化
  • 資格手当制度

5.防災・安全衛生

ポイント

外国人が災害時に適切な行動を取れるよう、情報を理解しやすい形で提供することが重要です。

対応策

  • 多言語・やさしい日本語による防災マニュアル
  • 避難経路の掲示
  • 緊急連絡網の整備
  • 定期的な避難訓練への参加

第3章 外国人雇用 社内運用チェックリスト

チェック項目確認内容
在留カード確認読取アプリで真正性を確認したか
就労資格確認在留資格・資格外活動許可を確認したか
在留期限管理更新期限を管理しているか
更新支援更新3か月前に本人へ案内したか
業務内容主たる業務が在留資格に適合しているか
労働条件通知多言語またはやさしい日本語で説明したか
賃金・待遇国籍による不合理な待遇差がないか
社会保険健康保険・厚生年金に加入しているか
労働保険雇用保険・労災保険に加入しているか
ハローワーク届出外国人雇用状況届出を提出したか
支援体制特定技能の支援体制を整備しているか
防災対応多言語・やさしい日本語による防災マニュアルを整備しているか
教育・定着日本語教育・キャリア支援を実施しているか