ものづくり補助金採択結果

最新の採択結果

項目第19次第20次変化
申請数5,336者2,453者半減以下
採択数1,698者825者約半減
採択率31.8%33.6%+1.8%

ポイント申請件数が5,000件超から2,453件へと半分以下に激減したにもかかわらず、採択率はわずか1.8%しか改善していません。通常、申請件数が半減すれば予算配分の関係で採択率は2倍近くになるはずですが、ほとんど変わらないということは、予算が大幅に削減されている可能性があります。

なぜ申請件数が半減したのか?

申請件数が激減した最大の理由は、省力化投資補助金との競合です。両方の補助金に同時に採択された場合、どちらかを辞退しなければならないため、経営者は採択率の高い方を選ぶ傾向にあります。ポイントは、ものづくり補助金よりも省力化投資補助金の方が圧倒的に有利という現実です

省力化投資補助金との比較

補助金名最新採択率採択の難易度
省力化投資補助金(第2回)60.9%5社に3社が採択
省力化投資補助金(第1回)68.5%3社に2社が採択
ものづくり補助金(第20次)33.6%3社に1社が採択
ものづくり補助金(第19次)31.8%3社に1社未満が採択

省力化投資補助金の採択率は60~68%で推移しており、ものづくり補助金の約2倍の採択率です。

補助金額と補助率の比較

ものづくり補助金

  • 補助上限額:750万円~2,500万円(従業員数により変動)​
  • 補助率:中小企業1/2、小規模事業者2/3​

省力化投資補助金

  • 補助上限額:1,500万円以下の部分は1,500万円まで、1,500万円超の部分は最大8,000万円
  • 補助率:中小企業は1,500万円まで1/2(または2/3)、1,500万円超の部分は1/3​

対象事業の違い

ものづくり補助金:新商品・新サービスの開発​

  • 例:新しいラーメンのメニュー開発のための設備投資
  • リスク:新商品が売れるかどうか不確実

省力化投資補助金:既存業務の自動化・省人化​

  • 例:既存のラーメン製造工程を自動化する機械導入
  • リスク:やることは変わらないので投資リスクが低い

新商品開発は当たるかどうか分からないギャンブル性があります。一方、既存業務の効率化は確実に人件費削減につながります。しかも採択率が2倍となれば、投資判断として省力化投資補助金を優先するかたが多いようです。​

ものづくり補助金の概要(2025年度版)

主な申請枠と補助内容

製品・サービス高付加価値化枠

従業員数補助上限額補助率(中小企業)補助率(小規模事業者)
5人以下750万円1/22/3
6~20人1,500万円1/22/3
21~50人2,500万円1/22/3
51人以上2,500万円1/22/3

賃上げ要件の詳細(都道府県別)

賃上げ要件は2つあり、どちらか一方を達成すればOKです:​

  1. 給与支給総額を年率平均2%以上増加
  2. 1人当たり給与支給総額を都道府県の最低賃金の過去5年間の年平均成長率以上に増加

都道府県別の年平均成長率(2019年基準、2020~2024年)

地域年平均成長率5年間の累積上昇率
福岡県2.9%約15.2%
東京都2.8%約14.7%
地方(平均的な県)3.5~4.0%約18~21%

注意点:この数値は2019年度を基準とした2020~2024年の上昇率で計算されており、2025年度の過去最大の賃上げ(約6%)が反映されていません。そのため、他の補助金(省力化投資補助金など)と比べると、まだ賃上げ要件が緩い状況です。

ただし、1人当たり年間3~4%の賃上げを5年間続けると、5年後には給料を15~21%上げる必要があり、中小企業にとっては相当な負担です。

従業員を増やしながら「給与支給総額2%増」でクリアする方が現実的です。

スケジュール

申請から投資実行までの実際の流れ

段階時期所要期間
①申請締切2026年1月30日
②審査期間1月30日~3月下旬約2ヶ月
③採択発表3月下旬~4月下旬
④交付申請(相見積取得等)4月~5月約1ヶ月
⑤交付決定5月~6月
⑥設備投資実行可能時期2026年夏頃

今から申請しても、実際に設備投資ができるのは最短で2026年夏頃です。交付決定前に発注や契約をしてしまうと補助金対象外となります。

2026年の設備投資を検討している経営者は、今すぐ申請準備を始める必要があります。補助金は「投資の直前に申請すればいい」という感覚では間に合わないと思われます。

具体的な採択事例

飲食業:からあげ専門店のデリバリーシステム構築

博多っ子に人気のからあげ専門店が、コロナ禍で電話予約によるデリバリーの業務効率が課題となっていました。電話が鳴りやまず、揚げ物の手が止まってしまう状況です。​

採択された取り組み:予約受付、通知、顧客管理が一体となった独自のデリバリーシステムを構築​

成果

  • 電話対応の手間が削減され、調理に集中できるようになった
  • 注文ミスが減少し、顧客満足度が向上​

飲食業:パン屋の個包装自動化

地域密着型のパン屋さんが、コロナ禍で衛生管理のためパンの個包装が必要になりました。しかし手作業では非常に手間がかかり、パン職人の本来の仕事である「パン作り」の時間が奪われていました。​

採択された取り組み:パンの個包装を自動化する機器の導入​

成果

  • 作業効率が大幅に向上
  • パンの製造そのものに時間を割けるようになり、新商品開発も可能に​

製造業:板金加工業者の3Dプリンタ導入

板金加工を行う事業者が、試作品作成に時間がかかることを課題としていました。顧客に試作品を見せるまでに1週間以上かかり、商談機会を逃していました。​

採択された取り組み:試作品を短時間で自動作成できる3Dプリンタの導入​

成果

  • 顧客への提案スピードが飛躍的に向上
  • 即日で試作品を見せられるようになり、受注拡大につながったinu-llc

製造業:生産管理システムの導入

自動車部品向けのめっき加工を行う吉野電化工業株式会社では、紙の伝票で作業実績を報告していたため、生産の進捗把握に課題がありました。工場長が伝票を回収して手作業で集計する必要があり、リアルタイムの状況把握が不可能でした。​

採択された取り組み:生産管理システムの導入​

成果

  • 生産データが一元化され、リアルタイムでの進捗管理が可能に
  • 生産性が大幅に向上し、残業時間も削減​

補助金額の計算例(製造業の場合)

ケース:従業員10名の製造業が3,000万円の設備投資を行う場合

項目金額・内容
投資総額3,000万円
補助上限額1,500万円(従業員6~20名)
補助率1/2(中小企業)
補助金額計算3,000万円 × 1/2 = 1,500万円
実際の補助額1,500万円(上限内のため全額)
自己負担1,500万円

2025年度の主な変更点

第21次公募からの重要な変更:​

  • 従業員0名の事業者は申請不可に明確化
  • 足下の賃上げ状況を踏まえ、基本要件を見直し
  • 従業員規模区分を見直し、補助金上限額を一部拡充
  • 最低賃金引上げ特例を新設(要件緩和や加点措置)
  • 収益納付は不要

今後の公募スケジュール

第22次公募(今年度最後の募集):​

  • 公募開始:2025年10月24日
  • 電子申請受付:2025年12月26日 17:00~
  • 申請締切:2026年1月30日 17:00
  • 採択公表:2026年4月下旬予定​

重要:GビズIDプライムアカウントの取得には1~2週間かかるため、まだ取得していない経営者は今すぐ取得手続きを開始してください。​

留意事項

2026年の設備投資を検討中の経営者

今すぐやるべきこと

  1. GビズIDプライムアカウントの取得(1~2週間必要)
  2. 認定支援機関または補助金コンサルタントへの相談(12月中)
  3. 事業計画の作成開始(12月~1月)
  4. 1月30日までに申請完了

省力化投資とものづくり補助金で迷っている経営者

判断基準

  • 既存業務の効率化が目的省力化投資補助金(採択率60%超)
  • 新商品・新サービス開発が目的 → ものづくり補助金(採択率33%)
  • 投資リスクを下げたい省力化投資補助金(既存業務の改善なのでリスク低)
  • 補助金をもらえる確率を重視省力化投資補助金(2倍の採択率)

従業員が少ない小規模事業者

  • 従業員0名:申請不可
  • 従業員1~5名:補助上限額750万円で申請可能だが、賃上げ要件のクリアが課題
  • 現実的な対策:パート・アルバイトでも従業員として

ものづくり補助金は確かに魅力的な制度ですが、採択率の厳しさとスケジュール感を考慮すると、省力化投資補助金も並行して検討すべきです。中小企業の皆様が補助金を活用して事業を成長させられるよう、早めの準備をお勧めします。