2025年度税制改正の主なポイントと現行制度比較

2025年6月6日

2025年度（令和7年度）の税制改正は、「103万円の壁」引き上げを中心に、所得税・扶養控除・法人税など幅広い分野で見直しが行われました。以下、政府・学術・業界レポート等の信頼できる情報をもとに、主な改正点を現行制度と比較し、表形式でまとめます。

個人所得課税・扶養控除関連

項目	現行（2024年度まで）	2025年度改正後（令和7年度）	補足・ポイント
基礎控除額（所得税）	48万円	58万円	10万円引き上げ1 2 3 7 8
給与所得控除（最低額）	55万円	65万円	10万円引き上げ2 4 12
所得税がかからない給与収入	103万円	123万円	基礎控除＋給与所得控除の合計2 3 8
住民税の基礎控除	43万円	変更なし	所得税のみ引き上げ、住民税は据え置き2 7
扶養控除（一般）	所得税38万円/住民税33万円	変更なし
特定扶養控除（19歳以上23歳未満）	子の年収103万円以下	年収150万円まで対象拡大	150万円超188万円まで段階的に控除額縮減5 9
特定親族特別控除（新設）	なし	年収123万円超～188万円以下対象	控除額は段階的に減少1 5 9
配偶者控除・扶養控除の年収要件	103万円以下	123万円以下	「103万円の壁」→「123万円の壁」へ2 3 9
学生の勤労所得控除	年収130万円以下	年収150万円以下	学生バイトの壁も緩和2

法人課税・中小企業関連

項目	現行（2024年度まで）	2025年度改正後（令和7年度）	補足・ポイント
中小法人の軽減税率（所得800万円以下）	15%	15%（原則継続、2年延長）	令和9年3月末まで延長6 10
年間所得10億円超の中小法人	15%	17%	利益規模が大きい企業は増税6 10
法人税優遇措置（投資促進等）	各種特例あり	一部延長・拡充	賃上げ・設備投資促進税制の拡充6 11 13
防衛特別法人税（新設）	なし	法人税額から500万円差引後×4%課税	2026年4月から2 6

その他主な改正

項目	現行	2025年度改正後	補足・ポイント
生命保険料控除（子育て世帯）	4万円	6万円	23歳未満扶養親族がいる世帯対象3
住宅ローン控除	一定要件	40歳未満夫婦/19歳未満扶養親族で上限拡大	控除対象借入限度額の引上げ3
事業承継税制	役員就任・事業従事要件厳格	要件緩和（贈与直前まででOK）	中小企業の事業承継円滑化3
電子帳簿保存法	厳格な保存要件	要件緩和	システム・保存方法の柔軟化6

ポイント

「103万円の壁」→「123万円の壁」へ
パート・アルバイトの方や配偶者・学生の扶養控除要件が20万円引き上げられ、働き控えの解消や家計の手取り増加が期待されます2 3 8 9。
特定扶養控除・特定親族特別控除の拡充
大学生などの子どものバイト収入が増えても、親の控除が段階的に減る仕組みが導入され、急激な手取り減を防ぎます5 9。
中小企業の軽減税率は原則維持も、大企業並みの利益企業は増税
年間所得10億円超の中小法人は軽減税率が2%引き上げられます。該当しない多くの中小企業は現行通り15%です6 10。
賃上げ・投資促進税制の拡充
賃上げや設備投資を行う企業に対する税制優遇が強化され、成長投資を後押しします11 13。
電子帳簿保存法等の要件緩和
デジタル化推進のため、帳簿保存の要件が柔軟化され、実務負担が軽減されます6。

まとめ

2025年度の税制改正は、物価高や人手不足時代への対応として、控除額の引き上げや扶養控除の拡充、中小企業支援・デジタル化推進など、実務・生活に直結する改正が多いのが特徴です。
経営者・従業員ともに「壁」を気にせず働ける環境整備が進みますので、制度変更をしっかり把握し、社内説明や給与設計に活かしてください。