実店舗をお持ちの方で特徴ある商品を地元以外に販売することを考える方も多いと思いますが、その場合、拡散性があるSNSが有効です。ここではInstagramによる集客方法、手順を具体的に紹介します。
まったく何もない状態から、Instagramショッピング機能を設定し、フィード投稿やストーリーズで商品をタグ付けしてオンラインストアに誘導できるようになるまでの具体的な手順、方法は以下の通りです。
Instagramショッピング機能は、適切に設定すれば広告費をかけずに商品の認知度を高め、購入につなげるための非常に強力なツールです。少し複雑に感じるかもしれませんが、一つずつ進めていけば大丈夫です。
Instagramショッピング設定の全体像
- 準備段階: InstagramアカウントとFacebookアカウント、オンラインストアの準備
- アカウント連携: InstagramビジネスアカウントとFacebookページ、Meta Business Suiteの連携
- 商品カタログ作成: 販売する商品の情報をまとめたカタログの作成
- ショッピング機能申請: Instagramへショッピング機能の利用申請
- 設定完了&タグ付け開始: 審査通過後、投稿に商品をタグ付けして販売を開始
具体的な手順と方法、例
ステップ0:事前の確認と準備(これが最も重要です)
- オンラインストアの準備: お客様がInstagramから遷移して、実際に商品を選んで購入できるオンラインストア(ウェブサイト)が稼働している必要があります。商品ページには、価格、在庫、サイズ、色、説明、購入ボタンなどが明確に表示されている必要があります。プラットフォームBASEによるものはこちらをご確認ください。
- 販売する商品: 物理的な商品(洋服など)である必要があります。デジタルコンテンツやサービスは販売できません。
- Facebook/Metaのコマースポリシーへの準拠: 禁止されている商品(例:タバコ、医薬品、武器など。洋服は通常問題ありません)を販売していないか確認します。
- 配送先の国の設定: 日本全国に配送可能である設定になっているか確認します。
ステップ1:InstagramとFacebookアカウントの準備
- Instagramアカウント:
- まだ通常の個人用アカウントの場合は、「ビジネスアカウント」に切り替えます(無料)。
- 手順: プロフィールの設定画面を開く → 「アカウントの種類を切り替え」または「プロアカウントに切り替える」をタップ → 「ビジネス」を選択 → カテゴリを選択(例:「アパレル(衣料品)」や「女性向け衣料品店」)→ 連絡先情報を入力 → 完了。
- Facebookページ:
- お店のFacebookページがない場合は作成します(無料)。個人用プロフィールとは異なります。
- 手順: Facebookにログインし、左側のメニューで「ページ」を選択 → 「新しいページを作成」を選択 → ページ名(お店の名前)を入力 → カテゴリを選択(例:「アパレル(ブランド)」「女性向け衣料品店」など)→ 必要に応じて自己紹介や連絡先、ウェブサイト(オンラインストアのURL)などを入力 → 完了。
ステップ2:アカウントの連携
- InstagramとFacebookページの連携:
- Instagramアプリから: プロフィールの編集画面を開く → 「ページ」または「Facebookページ」をタップ → 作成したお店のFacebookページを選択して連携します。
- Facebookページから: Facebookページの設定を開き、「Instagram」を選択し、連携したいInstagramアカウントにログインします。
- ポイント: これにより、InstagramとFacebook間で情報が共有できるようになります。
- Meta Business Suite/Commerce Managerへのアクセス:
- Facebookページを作成すると、自動的にMeta Business Suite(旧Facebook Business Manager)というツールが利用できるようになります。この中でショッピング機能や広告などの管理を行います。
- Facebookページにアクセスし、メニューから「Meta Business Suite」または「Commerce Manager」を探して開きます。もしメニューに見当たらない場合は、「Facebook Business Manager」で検索してアクセスすることも可能です。
ステップ3:商品カタログの作成
これがInstagramショッピングの核となる部分です。ここで販売したい商品の情報を登録します。
- 手順:
- Meta Business Suite または Commerce Manager を開きます。
- 「カタログ」または「コマース」メニューを探します。
- 「カタログを作成」または「商品を登録」といったボタンをクリックします。
- カタログの種類を選択します。今回は「Eコマース」(または「商品」)を選択します。
- 商品の登録方法を選択: ここが重要な分かれ道です。
- ① 手動アップロード: 商品数が少ない場合や、オンラインストアのシステムと連携できない場合に適しています。商品を一つずつ手入力で登録します。
- 例: 「アイテムを追加」をクリック → 各項目を入力(商品名、説明、価格、オンラインストアのその商品ページへのURL、商品の画像)→ 必要に応じて色、サイズ、性別、年齢層などの「バリエーション」や「属性」を追加 → 保存。
- ポイント: 手入力は手間がかかりますが、確実に情報を登録できます。情報(価格や在庫)の変更があった場合は手動で更新が必要です。
- ② データフィード: 商品数が多い場合や、頻繁に情報が更新される場合に適しています。ExcelやCSVなどのファイルで商品情報をまとめてアップロードします。
- 例: 「データフィードを使用」を選択 → 事前に用意した商品情報ファイル(例:商品名,価格,説明,商品ページURL,画像URL,色,サイズ…といった項目を含むCSVファイル)を選択してアップロードします。
- ポイント: ファイルの作成には、お使いのオンラインストアシステムからデータを出力したり、場合によっては専門的な知識が必要になることがあります。一度仕組みを作れば、更新が比較的容易です。
- ③ パートナープラットフォーム連携: お使いのオンラインストアのプラットフォーム(Shopify, BASE, STORES.jpなど)がMetaと連携している場合に最も簡単です。
- 例: 「パートナープラットフォームを使用」を選択 → プラットフォーム(BASEなど)を選択 → 画面の指示に従って、オンラインストア側のアカウントとMeta Business Suiteを連携させます。これにより、オンラインストアの商品情報が自動的にカタログに反映されるようになります。
- ポイント: この方法が利用できる場合は、商品の追加や価格・在庫の変更がオンラインストア側で行うだけでカタログにも反映されるため、最も効率的です。まずご自身のオンラインストアがこの連携に対応しているか確認することをお勧めします。
- ① 手動アップロード: 商品数が少ない場合や、オンラインストアのシステムと連携できない場合に適しています。商品を一つずつ手入力で登録します。
- 作成したカタログを、連携済みのFacebookページに紐づけます。
- カタログ作成の注意点:
- 商品点数: 最低でも数点は登録する必要があります(一般的に5点以上を推奨)。
- 情報の正確性: 価格、在庫、商品ページへのリンクは正確である必要があります。
- 画像の質: カタログに登録する商品画像は、明るく鮮明で、商品がはっきりと写っているものを使用します。
ステップ4:Instagramショッピング機能の申請
カタログが作成できたら、Instagramにショッピング機能を使いたいという申請を行います。
- 手順:
- Instagramアプリを開き、プロフィールの設定画面に進みます。
- 「ビジネス」または「クリエイター」設定の中に、「ショッピング」という項目が表示されているはずです(表示されない場合は、アカウント連携やカタログ作成が正しくできていない可能性があります)。
- 「ショッピングを設定」または「利用を開始する」のようなボタンをタップします。
- 画面の指示に従って、審査に必要な情報を確認・提出します。作成した商品カタログを選択します。
- 申請が完了すると、「審査中」となります。
- 審査期間: 審査には数時間〜数週間かかることがあります。気長に待ちましょう。審査状況はInstagramの設定画面で確認できます。
ステップ5:設定完了&タグ付け開始
審査に通過すると、Instagramから通知が届き、ショッピング機能が利用可能になります。
- 手順:
- Instagram設定の「ショッピング」項目が「オン」になっているか確認します。使用するカタログが正しく選択されているかも確認します。
- これで、フィード投稿やストーリーズを作成する際に、「商品をタグ付け」または「製品タグ」といったオプションが表示されるようになります。
- 投稿したい写真や動画を選び、「商品をタグ付け」をタップ → 写真の商品の場所をタップ → カタログから該当の商品名を検索して選択 → 完了。ストーリーズでも同様にスタンプから商品タグを選択できます。
- タグ付けの例:
- フィード投稿: スタッフの方がお店のワンピースを着ている写真に、そのワンピースをタグ付けします。タグをタップしたユーザーは、商品名と価格を確認でき、さらにタップするとオンラインストアの該当ページに直接移動できます。
- ストーリーズ: 新入荷のブラウスを動画で紹介し、画面上にブラウスの商品タグを配置します。スワイプアップやタップで商品ページに誘導できます。
設定後の運用とポイント
- 積極的にタグ付け: 販売している商品が写っている投稿やストーリーズには、漏れなく商品タグを付けましょう。
- 分かりやすい投稿: タグを付けた投稿では、キャプションで商品の魅力やオンラインストアへの誘導をしっかり行います。「詳しくは写真のタグをタップ!」「@[お店のInstagramアカウント名] プロフィールのリンクからも購入できます」など。
- ストーリーズでハイライトにまとめる: 「オンラインストア」「新入荷アイテム」「スタッフおすすめ」などのハイライトを作成し、商品タグ付きのストーリーズをまとめておくと、いつでもお客様が見返せて便利です。
- インサイトの活用: ビジネスアカウントのインサイトで、ショッピング投稿のパフォーマンス(タグのタップ数、ウェブサイトへのクリック数など)を確認し、効果的な投稿の傾向を掴みます。
つまずきやすいポイントと対処法
- ショッピング機能が表示されない/申請できない: アカウントがビジネス(またはクリエイター)アカウントになっていない、Facebookページと正しく連携できていない、またはMetaのポリシーに違反している可能性が考えられます。
- カタログが作成できない/商品が登録できない: 登録方法(手動、データフィード、連携)が合っていないか、入力情報に不備がある可能性があります。特にデータフィードや連携は技術的な問題が発生することもあります。
- 審査に落ちる: カタログの情報不足、オンラインストアへのリンク切れ、ポリシー違反、ウェブサイトが未完成などが原因として考えられます。原因が通知されるので、修正して再申請します。
これらの手順を踏むことで、Instagramから直接オンラインストアへお客様を誘導する仕組みを作ることができます。最初は手間がかかるかもしれませんが、一度設定すればその後の販売促進に大いに役立ちます。
全く何もない状態から自社ECサイトを構築する具体的な方法、手順、例
全くのゼロから自社ECサイトを構築するには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、初心者でも取り組みやすいように、具体的な方法、手順、そして例を交えて解説します。
大前提:ECサイトの目的とターゲット層を明確にする
ECサイトを始める前に、何を誰に、どのように売りたいのかを明確にしておくことが非常に重要です。
- 販売する商品・サービス: 具体的に何を販売しますか?(例:手作りアクセサリー、アパレル、食品、デジタルコンテンツなど)
- ターゲット層: どのような人たちに購入してもらいたいですか?(例:20代女性、子育て中の親、特定の趣味を持つ人など)
- ECサイトの目的: 単に商品を売るだけでなく、ブランド認知度向上、顧客データ収集など、ECサイトを通して達成したいことは何ですか?
ステップ1:ECサイトの開設方法を選ぶ
大きく分けて、以下の3つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況や目的に合った方法を選びましょう。
- ECプラットフォームを利用する (ASPカート):
- 特徴: 比較的安価で手軽に始められる。デザインテンプレートが豊富で、専門知識が少なくても簡単に構築・運営できる。決済機能や配送設定などが標準装備されていることが多い。
- 例: Shopify、BASE、STORES、カラーミーショップなど
- ECオープンソースを利用する:
- 特徴: 自由度が高く、デザインや機能を自由にカスタマイズできる。ある程度の専門知識が必要。サーバー契約やドメイン取得などを自分で行う必要がある。
- 例: EC-CUBE、WordPress + WooCommerceなど
- フルスクラッチで開発する:
- 特徴: 完全にオリジナルのECサイトを構築できるが、高額な費用と専門知識、開発期間が必要となる。大規模なビジネスや特殊な要件がある場合に適している。
ここでは、初心者でも比較的簡単に始められる「1. ECプラットフォームを利用する」方法をメインに解説します。
ステップ2:ECプラットフォームを選定する
上記のECプラットフォームの中から、あなたのビジネスに最適なものを選びます。選定の際には、以下の点を考慮しましょう。
- 費用: 月額費用、決済手数料、トランザクション手数料などを比較検討する。
- 機能: 必要な機能(商品登録、在庫管理、決済方法、配送設定、顧客管理、SEO対策など)が揃っているか確認する。
- デザイン: テンプレートの種類やカスタマイズの自由度を確認する。
- サポート体制: 困った時に問い合わせできるサポート体制があるか確認する。
- 拡張性: 将来的に機能を追加したり、規模を拡大したりできるか確認する。
例: 手作りの犬用アクセサリーを販売したいAさんは、初期費用を抑えたいと考え、無料で始められるBASEを選ぶことにしました。BASEは、デザインテンプレートも豊富で、初心者でも扱いやすいインターフェースが魅力だと感じました。
ステップ3:アカウント登録と初期設定
選んだECプラットフォームにアカウント登録を行い、基本的な情報を設定します。
- アカウント登録: メールアドレスやパスワードなどを入力してアカウントを作成します。
- ショップ名、URL設定: ショップの名前とURL(インターネット上の住所)を設定します。覚えやすく、ブランドイメージに合ったものを選びましょう。
- 基本情報設定: 住所、電話番号、特定商取引法に基づく表記などの必要な情報を入力します。
- 決済方法の設定: クレジットカード決済、銀行振込、コンビニ決済など、利用したい決済方法を設定します。各プラットフォームによって利用できる決済方法や手数料が異なるので確認しましょう。
- 配送設定: 送料、配送方法(宅配便、メール便など)、お届け日数などを設定します。地域別の送料設定や、購入金額による送料無料設定なども可能です。
例: AさんはBASEにアカウント登録し、ショップ名を「Doggies Style」、URLを「doggies-style.theshop.jp」に設定しました。決済方法はクレジットカード決済と銀行振込、配送方法は全国一律の宅配便としました。
ステップ4:商品の登録
販売する商品の情報をECサイトに登録します。魅力的な商品ページを作成することが重要です。
- 商品登録画面を開く: ECプラットフォームの管理画面から商品登録のページを開きます。
- 商品情報を入力:
- 商品名: 分かりやすく、検索されやすい名前をつけましょう。
- 商品説明: 素材、サイズ、特徴、こだわりなどを詳しく記述します。
- 価格: 販売価格を設定します。
- 在庫数: 現在の在庫数を入力します。
- 商品画像: 高画質で魅力的な画像を複数枚掲載しましょう。商品の様々な角度からの写真や、使用イメージが伝わる写真があると効果的です。
- カテゴリ設定: 商品を分類するためのカテゴリを設定します。
- オプション設定: サイズ、カラーなどのバリエーションがある場合は設定します。
- SKU (Stock Keeping Unit): 在庫管理のための商品識別コードを設定します。(任意)
- SEO設定: タイトルタグ、メタディスクリプションなど、検索エンジン最適化のための情報を入力します。
- 登録内容を確認して保存: 入力した情報に誤りがないか確認し、保存します。
例: Aさんは、手作りの犬用首輪「おしゃれなデニム風首輪」を登録しました。商品名、素材(デニム生地、金属パーツ)、サイズ(S, M, L)、価格(2,500円)、在庫数を入力し、様々な角度から撮影した高画質の画像を5枚登録しました。商品説明には、デニムの風合いや耐久性、手作りの温かみなどを記載しました。カテゴリは「首輪」に設定しました。
ステップ5:ECサイトのデザインをカスタマイズする
ECプラットフォームのテンプレートを利用して、ショップのデザインを整えます。
- デザインテンプレートを選択: プラットフォームが提供する豊富なテンプレートの中から、自分のショップのイメージに合ったものを選びます。
- カラーやフォントを調整: ショップのブランドイメージに合わせて、テンプレートのカラーやフォントをカスタマイズします。
- ロゴやバナーを設定: ショップのロゴや、キャンペーン情報などを掲載するバナー画像を作成し、設定します。
- トップページを編集: おすすめ商品や新着商品などを配置し、魅力的なトップページを作成します。
- その他ページを編集: 特定商取引法に基づく表記、プライバシーポリシー、お問い合わせページなど、必要なページを作成・編集します。
例: Aさんは、BASEのテンプレートの中から、ナチュラルで温かみのあるデザインのテンプレートを選びました。ショップのイメージカラーである青と白を基調にカラーを調整し、手作りの温かさが伝わるようなフォントを選びました。自分で作成した犬のシルエットのロゴを登録し、新商品を紹介するバナー画像を作成してトップページに配置しました。
ステップ6:テスト購入と最終確認
公開前に、実際に商品を注文してみるテスト購入を行い、以下の点を確認します。
- 商品の表示: 商品画像や説明文が正しく表示されているか。
- カート機能: 商品がカートに追加できるか、数量を変更できるか。
- 注文手続き: 配送先情報や決済方法の入力がスムーズにできるか。
- 決済処理: 選択した決済方法で問題なく決済が完了するか。
- 注文確認メール: 注文後に自動送信されるメールの内容は正しいか。
- 送料の計算: 送料が正しく計算されているか。
例: Aさんは、自分のショップから実際に「おしゃれなデニム風首輪」を1つ購入してみました。商品の表示、カートへの追加、配送先情報の入力、クレジットカード決済、注文確認メールの受信まで、一連の流れに問題がないことを確認しました。
ステップ7:ECサイトの公開
テスト購入で問題がなければ、ECサイトを公開します。
- 公開設定を行う: ECプラットフォームの管理画面から公開設定を行います。
- URLを告知: 作成したECサイトのURLをSNSやブログなどで告知します。
例: Aさんは、BASEの管理画面からショップを公開しました。そして、Instagramで「本日、手作り犬用アクセサリーのオンラインストア『Doggies Style』をオープンしました!」という投稿とともに、ショップのURLを告知しました。
ステップ8:集客と販売促進
ECサイトを公開したら、より多くの人に訪れてもらい、商品を購入してもらうための集客活動や販売促進活動を行います。
- SNS活用: Instagram、Twitter、FacebookなどのSNSで積極的に情報を発信し、フォロワーとのコミュニケーションを図ります。
- SEO対策: 商品ページやブログ記事などを最適化し、検索エンジンからの流入を増やします。
- 広告掲載: 必要に応じて、Web広告(リスティング広告、SNS広告など)を出稿します。
- メールマガジン: 顧客リストを作成し、定期的にメールマガジンを配信して再購入を促します。
- キャンペーン実施: セール、クーポン配布、ポイント付与などのキャンペーンを実施します。
- ブログ運営: 商品に関する情報や犬との生活に関する役立つ情報を発信するブログを運営し、ECサイトへの導線を増やします。
例: Aさんは、Instagramで日々の制作風景や愛犬モデルの着用写真などを投稿し、「#犬用アクセサリー」「#ハンドメイド」といったハッシュタグを活用して情報を拡散しました。また、フォロワー限定のクーポンを配布したり、期間限定のセールを実施したりする予定です。
ステップ9:運営と改善
ECサイトを運営していく中で、売上状況や顧客の声などを分析し、改善を繰り返していくことが重要です。
- アクセス解析: どのページがよく見られているか、どこからアクセスが多いかなどを分析します。
- 売上分析: どの商品が売れているか、売上が伸び悩んでいる商品は何かなどを分析します。
- 顧客の声の収集: レビューやお問い合わせなどを通して、顧客の意見や要望を収集します。
- サイトの改善: 分析結果や顧客の声をもとに、商品ページの改善、サイトデザインの修正、新たな機能の追加などを行います。
- 顧客対応: 問い合わせには迅速かつ丁寧に対応し、顧客満足度を高めます。
これらのステップを踏むことで、全く何もない状態からでも自社ECサイトを構築し、運営していくことができます。最初は試行錯誤の連続かもしれませんが、諦めずに取り組むことが成功への近道です。
ECプラットフォームを利用する場合 (ASPカート)の費用
最も手軽に始められる方法で、初期費用を抑えやすいのが特徴です。
初期費用:
- アカウント登録料: 多くのプラットフォームで無料または数千円程度です。
- 例: BASE、STORESなどは無料プランがあります。Shopifyも無料トライアル期間があります。
- テンプレート費用 (必要な場合): 無料のテンプレートも豊富にありますが、より個性的なデザインや高機能なテンプレートを利用する場合は数千円〜数万円程度かかることがあります。
- アプリ導入費用 (必要な場合): 標準機能以外に追加したい機能がある場合、有料のアプリを導入することがあります。費用はアプリによって異なり、月額数百円〜数千円程度が多いです。
- 写真撮影・商品登録代行費用 (依頼する場合): 商品点数が多い場合や、クオリティの高い写真を用意したい場合に外注すると費用がかかります。数千円〜数万円程度/商品となることもあります。
初期費用の目安: 無料〜数万円程度
ランニング費用 (月額):
- 月額利用料: 多くのプラットフォームで、機能やプランに応じて月額費用が発生します。無料プランもありますが、機能制限があることが多いです。有料プランは数百円〜数万円程度まで幅広いです。
- 例: BASE無料プランは決済手数料のみ。Shopifyのベーシックプランは月額数千円程度。
- 決済手数料: 売れた商品に対して、各プラットフォームが設定する決済手数料が発生します。一般的に数%程度です。
- トランザクション手数料 (一部プラットフォーム): 一部のプラットフォームでは、決済手数料に加えてトランザクション手数料が発生する場合があります。
- アプリ利用料: 有料アプリを継続利用する場合、月額費用がかかります。
- ドメイン費用 (独自ドメインを利用する場合): プラットフォームが提供するサブドメインではなく、独自ドメイン(例:www.yourshop.com)を利用する場合は、年間数千円程度の費用がかかります。
- 広告費用 (任意): 集客のためにWeb広告などを利用する場合は、その費用がかかります。
- 人件費 (自分で運営する場合を除く): 運営を外部に委託する場合や、スタッフを雇う場合は人件費が発生します。
ECプラットフォーム (ASPカート) 年間ランニング費用総額の試算(一般的な前提条件)
中小企業で費用を抑えたいという前提で、一般的なECサイトの状況を仮定し、主要なECプラットフォームにおける年間ランニング費用総額の目安を算出します。
一般的な前提条件:
- 月商: 30万円
- 年間売上: 360万円
- 平均単価: 3,000円
- 月間注文数: 100件
- 利用プラン: 各プラットフォームの無料プランまたは低価格帯の有料プランを想定
- アプリ利用: 月額500円程度の有料アプリを1つ利用
- 独自ドメイン: 利用しない(プラットフォームのサブドメインを利用)
- 広告費: 考慮しない(オーガニックな集客を主体とする)
各プラットフォームの年間ランニング費用総額 (目安):
プラットフォーム | 月額基本料金 (目安) | 決済手数料 (年間) | 有料アプリ費用 (年間) | 独自ドメイン費用 | 年間ランニング費用総額 (目安) |
BASE | 0円 | (3.0% + 25円/件) * 100件/月 * 12ヶ月 = (900円 + 2,500円) * 12 = 40,800円 | 6,000円 | 0円 | 46,800円 |
STORES (無料プラン) | 0円 | 5.0% * 360万円 = 180,000円 | 6,000円 | 0円 | 186,000円 |
STORES (スタンダードプラン) | 2,178円/月 (税込) | 3.5% * 360万円 = 126,000円 | 6,000円 | 0円 | 2,178円 * 12 + 126,000円 + 6,000円 = 158,136円 |
Shopify (ベーシックプラン) | 約3,500円/月 | (Shopify Payments利用と仮定) プランにより異なるが、仮に3.4% + 5円/件とする: (3.4% * 360万円) + (5円 * 100件/月 * 12ヶ月) = 122,400円 + 6,000円 = 128,400円 | 6,000円 | 0円 | 3,500円 * 12 + 128,400円 + 6,000円 = 176,400円 |
カラーミーショップ (ライトプラン) | 935円/月 | プランにより異なるが、仮に3.0%とする: 3.0% * 360万円 = 108,000円 | 6,000円 | 0円 | 935円 * 12 + 108,000円 + 6,000円 = 119,220円 |
MakeShop (スモールプラン) | 2,200円/月 (税込) | プランにより異なるが、仮に3.5%とする: 3.5% * 360万円 = 126,000円 | 6,000円 | 0円 | 2,200円 * 12 + 126,000円 + 6,000円 = 158,400円 |
注記:
- 上記金額はあくまで試算であり、実際の費用は選択するプラン、決済方法、手数料率、利用するアプリ、キャンペーン適用などによって変動します。
- 決済手数料率は、プランによって異なる場合や、利用する決済サービスによって変動します。上記では簡略化のため、一部仮定の数値を採用しています。
- Shopifyの決済手数料はShopify Paymentsを利用した場合を想定しています。外部の決済サービスを利用する場合は別途手数料が発生する可能性があります。
- 各プラットフォームの料金プランは常に変更される可能性があるため、最新の情報は必ず各公式サイトでご確認ください。
- 上記では、月額基本料金が無料のプランも記載していますが、売上が発生すると決済手数料が主な費用となります。
結論:
上記の一般的な前提条件に基づくと、BASEが最も年間ランニング費用を抑えられる可能性が高いです。次いで、カラーミーショップ (ライトプラン)、STORES (スタンダードプラン)、MakeShop (スモールプラン)、Shopify (ベーシックプラン) の順となります。
ただし、これはあくまで一例であり、実際のビジネスモデルや売上規模、重視する機能などによって最適なプラットフォームは異なります。無料プランやトライアル期間を利用して、実際に操作感や費用感を確認することをおすすめします。また、将来的な事業拡大も見据えて、各プラットフォームのスケーラビリティや機能拡張性も考慮に入れると良いでしょう。
BASEによるECプラットフォームの具体的な構築方法、手順、例
BASEは、初期費用・月額費用無料で手軽にオンラインストアを開設できる人気のECプラットフォームです。専門知識がなくても、簡単な操作で本格的なECサイトを構築できます。以下に具体的な手順、方法、そして例を交えて解説します。
ステップ1:アカウント登録
- BASE公式サイトにアクセス: ブラウザでBASEの公式サイト(https://thebase.in/)を開きます。
- 「無料で始める」をクリック: トップページ中央にある「無料で始める」ボタンをクリックします。
- メールアドレスとパスワードを入力: 登録に使用するメールアドレスと任意のパスワードを入力し、「利用規約とプライバシーポリシーに同意して登録」をクリックします。
- ショップURLを設定: 任意のショップURLを入力します。他のユーザーが使用していないURLである必要があります。後から変更はできませんので、慎重に決定しましょう。(例:yourshopname.thebase.in)
- ショップ名を入力: ショップの名前を入力します。これは顧客に表示される名前になります。(例:手作り犬用アクセサリー専門店 Doggies Style)
- 「次へ」をクリック: ショップURLとショップ名を入力したら、「次へ」をクリックします。
- 基本情報の入力: 業種、都道府県、郵便番号などの基本情報を入力し、「完了」をクリックします。
例: Aさんは、手作りの犬用アクセサリーを販売するためにBASEに登録しました。メールアドレスとパスワードを入力し、ショップURLを「doggiesstyle」として「doggiesstyle.thebase.in」に設定、ショップ名を「Doggies Style」としました。業種は「その他」、所在地などを入力して登録を完了しました。
ステップ2:ショップデザインの設定
BASEには豊富なデザインテンプレートが用意されており、簡単にショップのデザインをカスタマイズできます。
- 管理画面にログイン: 登録したメールアドレスとパスワードでBASEの管理画面にログインします。
- 「デザイン」を選択: 左側のメニューから「デザイン」をクリックします。
- テンプレートを選択: 用途やイメージに合ったテンプレートを選択します。プレビューで実際の表示を確認できます。最初は無料テンプレートから選ぶのがおすすめです。
- デザインをカスタマイズ: 選択したテンプレートの「編集」ボタンをクリックすると、ロゴ画像、メイン画像、ショップカラー、フォントなどを変更できます。
- ロゴ画像: ショップの顔となるロゴ画像をアップロードします。
- メイン画像: トップページに表示される大きな画像です。ショップの雰囲気やおすすめ商品をアピールできます。
- ショップカラー: ブランドイメージに合わせた色を選択します。
- フォント: 見やすいフォントを選択します。
- その他: テンプレートによって、レイアウトや表示要素などを細かく設定できる場合があります。
- 変更を保存: カスタマイズが完了したら、「保存」ボタンをクリックします。
例: Aさんは、「CUTE」という無料テンプレートを選択しました。自分で作成した犬のシルエットのロゴ画像をアップロードし、メイン画像には様々な犬用アクセサリーの写真を組み合わせた画像を設定しました。ショップカラーはブランドイメージに合わせて水色と白を選択し、見やすいゴシック体のフォントを選びました。
ステップ3:商品の登録
販売する商品の情報を登録します。魅力的な商品ページを作成することが重要です。
- 管理画面で「商品管理」を選択: 左側のメニューから「商品管理」をクリックします。
- 「商品を登録する」をクリック: 右上にある「商品を登録する」ボタンをクリックします。
- 商品情報を入力:
- 商品名: 正式な商品名を入力します。(例:おしゃれなデニム風首輪)
- 商品説明: 素材、サイズ、特徴、こだわり、注意点などを詳しく記載します。箇条書きなどを活用すると見やすくなります。
- 販売価格: 税込みの販売価格を入力します。
- 在庫数: 現在の在庫数を入力します。
- 商品画像: 高画質で魅力的な画像を複数枚アップロードします。様々な角度からの写真や、使用イメージが伝わる写真があると効果的です。(推奨:正方形に近い画像)
- カテゴリー: 商品を分類するためのカテゴリーを設定します。既存のカテゴリーから選択するか、新しいカテゴリーを作成できます。(例:「首輪」「バンダナ」など)
- オプション: サイズ、カラーなどのバリエーションがある場合は設定します。
- SKU (在庫管理番号): 必要に応じて設定します。
- 公開設定: 「公開」を選択すると、商品がショップに表示されます。
- 「登録する」をクリック: 入力内容を確認したら、「登録する」をクリックします。
例: Aさんは、手作りの犬用首輪「おしゃれなデニム風首輪」を登録しました。商品名、素材(デニム生地、金属パーツ)、サイズ(S, M, L)、価格(2,500円)、在庫数を入力し、様々な犬が着用している高画質の画像を5枚登録しました。商品説明には、デニムの風合いや耐久性、手作りの温かみなどを丁寧に記載し、カテゴリーは「首輪」に設定しました。サイズごとに在庫数を設定しました。
ステップ4:決済方法の設定
顧客が商品を購入する際の決済方法を設定します。
- 管理画面で「決済・配送設定」を選択: 左側のメニューから「決済・配送設定」をクリックします。
- 利用したい決済方法にチェック:
- クレジットカード決済: VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubに対応しています。
- コンビニ決済: ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、セイコーマートに対応しています。
- 銀行振込: 顧客が指定の銀行口座に代金を振り込む方式です。振込手数料は顧客負担となることが一般的です。
- キャリア決済: ドコモ払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いに対応しています。
- Amazon Pay: Amazonアカウントで決済できます。
- Pay ID決済: BASEのID決済サービスです。
- 後払い決済: 商品到着後に請求書が郵送され、コンビニや銀行で支払う方式です。(別途申請が必要な場合があります)
- 詳細設定: 各決済方法の詳細設定(振込先口座情報など)が必要な場合は行います。
- 「保存する」をクリック: 設定が完了したら、「保存する」をクリックします。
例: Aさんは、クレジットカード決済、コンビニ決済、銀行振込、Pay ID決済にチェックを入れました。銀行振込の振込先口座情報を入力し、設定を保存しました。
ステップ5:配送設定
商品の配送方法や送料を設定します。
- 管理画面で「決済・配送設定」を選択: 左側のメニューから「決済・配送設定」をクリックします。
- 「配送方法を追加」をクリック: 新しい配送方法を追加する場合にクリックします。
- 配送方法を設定:
- 配送方法名: 顧客に分かりやすい名称を入力します。(例:宅配便、クリックポスト)
- 送料: 全国一律料金、地域別料金、購入金額による無料設定など、送料を設定します。
- お届け日数: 目安となるお届け日数を記載します。
- 追跡番号: 追跡サービスを利用する場合は、「追跡番号入力欄を表示する」にチェックを入れます。
- 「保存する」をクリック: 設定が完了したら、「保存する」をクリックします。複数の配送方法を設定することも可能です。
例: Aさんは、「宅配便」という配送方法を追加し、全国一律500円の送料を設定しました。また、購入金額が5,000円以上で送料無料になる設定も行いました。追跡番号入力欄も表示するように設定しました。
ステップ6:特定商取引法に基づく表記の設定
オンラインで商品を販売する際には、特定商取引法に基づく表記が義務付けられています。
- 管理画面で「ショップ設定」を選択: 左側のメニューから「ショップ設定」をクリックします。
- 「特定商取引法に関する表記」をクリック:
- 必要事項を入力: 販売事業者名、所在地、電話番号、代表者名、連絡先、返品・交換についての規約などを正確に入力します。
- 「保存する」をクリック: 入力内容を確認したら、「保存する」をクリックします。
ステップ7:ショップ公開
全ての設定が完了したら、いよいよショップを公開します。
- 管理画面で「ショップ設定」を選択: 左側のメニューから「ショップ設定」をクリックします。
- 「ショップ公開設定」をクリック:
- 「公開」にチェックを入れ、「保存する」をクリック: これであなたのオンラインストアが一般に公開されます。
ステップ8:集客・販売促進
ショップを公開しただけでは商品は売れません。積極的に集客・販売促進活動を行いましょう。
- SNS連携: Instagram、Twitter、FacebookなどのSNSと連携し、商品情報やショップの情報を発信します。BASEのアプリを利用すると連携がスムーズに行えます。
- ブログ機能: BASEのブログ機能を使って、商品の紹介や制作秘話、お客様へのメッセージなどを発信します。
- クーポン発行: クーポンアプリを利用して、割引クーポンを発行し、購入を促します。
- メールマガジン: メールマガジンアプリを利用して、フォロワーや購入履歴のある顧客に新商品やキャンペーン情報を配信します。
- BASE Appsの活用: 集客や販売促進に役立つ様々なBASE Apps(拡張機能)を活用しましょう。
- イベント出店: ハンドメイドイベントなどに出店し、実際に商品を手に取ってもらう機会を作るのも有効です。
例: Aさんは、Instagramアカウント「@doggies_style_official」を開設し、制作した犬用アクセサリーの写真を投稿したり、愛犬モデルの着用写真を掲載したりしています。BASEとInstagramを連携させ、投稿から直接ショップにアクセスできるように設定しました。また、期間限定の割引クーポンを発行したり、新作情報をメールマガジンで配信したりする予定です。
重要なポイント:
- 魅力的な商品写真: 高画質で商品の魅力が伝わる写真を掲載することが非常に重要です。
- 丁寧な商品説明: 素材、サイズ、使い方などを詳しく記載し、顧客の疑問を解消できるように心がけましょう。
- 迅速な顧客対応: 問い合わせには丁寧かつ迅速に対応し、顧客との信頼関係を築きましょう。
- 継続的な情報発信: 新商品やイベント情報などを積極的に発信し、ショップを盛り上げましょう。
- 売れ筋商品を把握: BASEのアクセス解析機能などを活用して、ショップへのアクセス状況や売れ筋商品を把握し、改善に繋げましょう。
BASEは、初心者でも比較的簡単にECサイトを開設・運営できるプラットフォームです。まずは実際に触ってみて、色々と試しながら自分らしいオンラインストアを育てていきましょう