プロンプトを作るプロンプト

「プロンプトを作成するためのプロンプト」を使うと、自分が求める精度の高いプロンプトを効率的に作ることができます。

以下に例を示します。これをAIに貼り付けて、作りたいテーマを指示するだけで、目的に合ったプロンプトが自動的に生成されます。たとえば、次のように指示します。

  • 「このプロンプトを使って、財務分析用のプロンプトを作成してください」

すると、財務分析専用のプロンプトが完成します。さらに、そのプロンプトを使えば、毎月の財務諸表をAIに読み込ませるだけで、細かい指示を入力しなくても自動的に財務分析ができるようになります。つまり、「プロンプトを作るプロンプト」を使えば、毎回ゼロから考えなくても、経営に役立つAIの指示書を効率的に準備できるのです。

プロンプトを作るプロンプトの例

命令書
あなたは「プロンプト設計エンジニア」です。ユーザーが提示する内容に基づき、最適なプロンプトを設計してください。

制約条件

  • ユーザーが提示する 目的・テーマ・対象読者・出力形式 を必ず反映すること。
  • 不足している要素(語彙、切り口、条件など)があれば、自ら補完し提案すること。
  • 論理的に破綻せず、一貫した構造を保つこと。
  • どのようなテーマにも応用できる汎用性を備えること。
  • 「完成済みのプロンプト」を明示して出力すること。

入力要素(ユーザーが与えるもの)

  • 目的(例:小説を書きたい、マーケティング文を考えたい)
  • テーマ(例:宇宙冒険、BtoB営業、子育て支援)
  • 対象読者(例:初心者、専門家、一般ユーザー)
  • 出力形式(例:記事、対話、コード、リスト)
  • その他条件(例:制限語、禁止表現、文体、文字数制限)

思考プロセス

  1. 入力文を分解し、要素を整理する。
  2. 不足要素があれば、自発的に補完し、理由を明示する。
  3. ステップごとに論理を再確認し、矛盾を排除する。
  4. 目的達成に最適化された形にリビルドする。

出力

  • **役割(ロール)**を定義する。
  • 入力から出力を作るプロセスを明確に示す。
  • 最終成果物としての「完成済みプロンプト」を提示する。

表記ルール

  • 本文以外は「#」でマークアップする。
  • 命令は箇条書きで整理する。
  • 過度に抽象的にならず、具体的かつ限定的な表現を使う。

ChatGPTなどのAIに「自社に役立つ答え」を引き出すためには、質問(=プロンプト)の設計が重要です。これは経営でいう「指示の出し方」に近いものです。社員に「頑張れ!」とだけ言うより、「今月の売上を昨年比で10%伸ばすために、新規顧客向けキャンペーン案を3つ考えてほしい」と具体的に指示したほうが成果につながります。AIも同じです。

財務分析プロンプト作成例

あなたは中小企業の財務分析専門アナリストです。
以下に与えられる財務諸表データ(損益計算書・貸借対照表など)をもとに、次の手順で分析してください。

  1. 財務諸表の数値を整理し、前年同月または前年同期と比較する。
  2. 売上・利益・コスト・資産・負債の主要指標を抜き出し、簡潔に要約する。
  3. 財務の健全性を3つの観点から評価する:
  • 収益性(利益率の傾向)
  • 安全性(自己資本比率・負債依存度)
  • 効率性(在庫回転率・資産の使い方)
  1. 改善点と経営者への具体的な提案を3つ提示する。
  2. 分析結果を「要約(短く)」「詳細(数値や根拠付き)」の2段階で提示する。

出力形式:

  • 文章と箇条書き、表を併用し、経営者が一目で理解できるように書く。
  • 難しい専門用語は避け、必要な場合はかんたんな言葉で補足する。

参考のため、以下にプロンプト作成の基本ルールを示します。

1. プロンプト作成の基本ルール

経営者が社員に仕事を頼む時のように、次のポイントを整理してAIに伝えると、欲しい答えが得やすくなります。

  • 目的:何のために使うのか?(例:新商品の販促アイデアを作りたい)
  • テーマ:具体的な対象や分野は?(例:地元向け健康食品の販促)
  • 対象読者:誰に向けて発信するのか?(例:40代以上の健康志向の主婦層)
  • 出力形式:どんな形で欲しいのか?(例:箇条書き、記事形式、SNS投稿文)
  • 条件:制約や禁止事項はあるか?(例:専門用語を使わず、200文字以内に収める)

2. プロンプト設計の流れ

以下の手順で「ざっくり質問」から「成果が出る質問」に変えられます。

  1. 入力内容を分解して要素ごとに整理する
  2. 足りない部分を補い、条件を加える
  3. 論理の矛盾をなくす(目的と出力が一致しているか確認)
  4. 具体的かつ実用的なプロンプトに組み直す

3. 例え話で理解する

  • 悪い例:「広告のアイデアを考えて」
    👉これは、社員に「なんかいい案出して」と丸投げするのと同じ。答えがぼんやりする。
  • 良い例:「40代以上の主婦を対象に、地元産の野菜を使った健康食品をPRするためのキャッチコピーを、SNS向けに5つ考えてください。分かりやすく、20文字以内で。」
    👉これは「誰に・何を・どうやって」を明示しているので、AIも狙い通りの答えを出しやすい。

4. まとめ表:AIへの指示の出し方

項目社員への指示に例えるとAIへのプロンプトでの意味
目的「何のための仕事か?」何を達成したいか
テーマ「どの案件の話か?」扱う分野や内容
対象読者「誰向けに話すのか?」顧客や利用者像
出力形式「報告書?リスト?口頭説明?」文章、箇条書き、コードなど
条件「納期・字数制限・禁止事項」文体、文字数、制限表現

5. 実践アドバイス

  • 社員に指示する感覚でAIに質問することがコツ。
  • あいまいな依頼は、あいまいな答えしか返ってこない。
  • 逆に、条件を細かく示すと「経営に使える答え」が返ってくる。
  • 最初から完璧を目指さず、少しずつ修正を加えていく「試行錯誤」が成果につながる。