令和7年度社会保険、労働保険関係の法改正

以下に、「令和7年度法改正」の主な変更点を、現行制度と比較して整理しました。


✅ 1. 育児・介護関連の改正点(育児支援の充実)

項目現行制度(令和6年まで)改正内容(令和7年~)
出生後休業給付金制度なし両親が育児休業をそれぞれ14日以上取得 → 休業前賃金の13%(最大28日)支給
育児時短就業給付金時短勤務中の給付なし賃金が時短前の90%未満 → 差額の最大10%を支給(2歳未満)
子の看護休暇「病気やケガ」時のみ看護の目的に「予防接種・健康診断」も追加、対象も拡大
育児のためのテレワーク努力義務なし努力義務が新設され、制度として推進される

🔸影響と実務ヒント:
「育児=女性」という従来の考え方から、夫婦で支え合う時代へ。
企業としても「柔軟な働き方」を導入することで、従業員のやる気(モチベーション)アップ・離職防止・採用力向上につながります。


✅ 2. 雇用保険制度の拡充

項目現行制度改正後
教育訓練給付金受講料の最大70%最大80%(専門実践)、再就職や資格取得で追加給付あり
教育訓練休暇給付金制度なし自主的な訓練のための休暇取得者に基本手当相当額を支給
離職理由による給付制限自己都合退職=2~3か月の給付制限教育訓練を受けた場合は制限なし、自己都合でも最大1か月に短縮
雇用保険の適用範囲週20時間以上勤務週10時間以上へ拡大(令和10年~)

🔸中小企業への利点:
「学び直し(リスキリング)」を支援すれば、企業にとっても人材強化に。たとえば、IT・AI研修に行かせて給付金活用=“未来に投資できる会社”としてPRも可能。


✅ 3. 高齢者雇用と年金制度の見直し

項目現行改正後
高年齢雇用継続給付最大15%の支給率最大10%に縮小(賃金の64%未満で給付)
在職老齢年金の停止調整総報酬の一定額超で停止支給停止額の基準等が見直しされる方向
年金の改定率物価・賃金など複合要素賃金を重視した改定(2025年度改定率=1.9%)

🔸注意点:
「高齢者の生活安定=国頼り」が見直され、企業・本人・社会全体で支える時代に。60代の従業員に「働き続けられる職場作り」が求められます。


✅ 4. 労働法制(準備段階含む)

項目現行改正方向
週44時間特例一部業種で認められていた廃止検討中(実施87%で未使用)
14日以上連続勤務法規制なし(4週4休可)原則禁止の方向(メンタルヘルス重視)
副業時の労働時間通算割増賃金必要廃止予定(企業負担軽減へ)

🔸中小企業経営への教訓:
「働かせすぎない」労務管理が必須に。今のうちから就業規則・シフト・勤務間インターバル等の整備がポイントです。