事業計画の策定

以下は、例としてパン屋さんの現状分析と課題、展望を踏まえた事業計画策定のフレームワークに沿ったまとめです。


1. 基本情報

  • 企業名・業種・業態:パン屋(個人経営)
  • 設立・事業歴:1956年創業、2代目経営
  • 従業員数・売上規模
    • 代表者(2代目)、奥さん、パート3名
    • 2024年度売上:2,000万円
    • 営業益:100万円
    • 平均購入単価:500円
  • 主力事業・商品・サービス:伝統の香ばしいパン、惣菜パン
  • 主要な顧客層・市場:地元住民、近隣利用者
  • 地域展開状況:過疎化・人口減少地域、地域密着型

2. 現状分析

  • 企業理念・ビジョン・社会的価値
    • 先代から受け継ぐ伝統の味と製法
    • 地域に愛される安心・安全なパンづくり
  • 強み(オンリーワン・ナンバーワン・保有強み)
    • 香ばしいパンや惣菜パンなど、地元で根強い人気を持つ独自商品
    • 長年の信頼と顧客との密な関係
    • 家族経営ならではのきめ細やかなサービス
  • 既存事業の課題・限界
    • 過疎化・人口減少による売上低迷
    • 若年層や新規顧客の獲得が難しい
    • デジタル活用やマーケティング力の不足
  • 市場環境の変化・競合状況
    • 人口減少に伴い市場規模が縮小傾向
    • コンビニやスーパーなど他業態との競合
    • 原材料費高騰や人手不足
  • 経営資源(人材・技術・資金・設備)
    • 家族・パートによる小規模運営
    • 伝統技術の継承
    • 資金力・設備は限定的

3. 目指す未来(あるべき姿)

  • 理念の再確認
    • 地域に根ざし、世代を超えて愛されるパン屋へ
  • 成長戦略(アンゾフ成長マトリクス)
    • 既存市場でシェア拡大(リピーター増加、新規顧客獲得)
    • 新市場・新商品への展開(若年層向け、健康志向、デリバリー・イートイン)
  • ブランド化・差別化
    • 伝統と革新を融合した商品開発
    • 地元食材活用や季節限定商品、コラボ商品の展開
  • 顧客ニーズの把握
    • 健康志向、インスタ映え、利便性(デリバリー・イートイン)への対応

4. ギャップ(課題)の明確化

  • 現状と理想のギャップ
    • 人口減少による顧客基盤の縮小
    • 新規顧客・若年層へのアプローチ不足
    • デジタル活用・マーケティング力の弱さ
    • 原材料費高騰・人手不足
  • CSF(重要成功要因)
    • 新規顧客獲得・リピーター増加
    • デジタルマーケティングとSNS活用
    • 商品開発力・サービス多様化
    • コスト管理・業務効率化

5. 改善策の立案

  • 財務改善
    • 原材料の共同仕入れや地元農家との提携でコスト削減3
    • 売れ筋商品の生産量最適化(ロス削減)9
  • 売上向上
    • 新商品開発(健康パン、スイーツパン、インスタ映え商品)
    • デリバリー・イートインサービスの導入
    • SNS・ホームページ活用による情報発信
  • 組織力強化
    • パート従業員のスキルアップ・定着支援
    • 若手の採用・育成
  • 業務効率化
    • 冷凍パン生地の活用による生産効率化2
    • デジタル決済・POSシステム導入
  • リスク管理
    • 原材料価格変動リスクへの対応
    • 事業継続計画(BCP)策定

6. 実行・評価・改善

  • 計画の見える化・KPI設定例
    • 新商品売上目標:月5万円(半年後10万円)
    • SNSフォロワー数:現状0→3ヶ月後500名
    • デリバリー利用件数:月20件(半年後50件)
    • イートイン客単価:現状500円→600円
  • 進捗の見える化
    • 週次・月次での売上・来客数・新商品売上管理
    • SNS投稿数・フォロワー数推移の把握
  • 評価と改善
    • 毎月の進捗確認とPDCAサイクルの運用
    • 顧客アンケートや声の収集による商品・サービス改善

7. まとめ

過疎化や人口減少という大きな課題を抱えつつも、伝統の味と地域密着型の強みを活かし、デジタル活用や新商品開発、サービス多様化を通じて新たな顧客層を開拓することが重要です。
PDCAサイクルを回しながら、持続的な成長を目指しましょう