1. SNS 時代にこそ「アナログ」なアプローチが有効
現代は SNS がマーケティングの主流ですが、情報が溢れ、消費者は選択肢の多さに疲弊しています。このような時代だからこそ、効率化(AI/SNS/Web マーケティング)とは対極にある**「泥臭いアプローチ」**が、逆に競合との差別化を生み、長期的な顧客獲得の鍵となります。
2. 「最強のリスト」とは何か
一般的に見込み客リスト(メルマガ、LINE 登録者など)を集めることが重要とされますが、最強のリストとは、**「お 客 様 が 自 ら 相談 に 来 て く れ る 顧 客 の リ ス ト 」**です。
| リストの種類 | 顧客との関係性 | 特徴 |
| 一般的なリスト | 一方的な情報提供 | 売り込み警戒心が強く、コンバージョン率が低い。 |
| 相談リスト | 相互の信頼関係 | 悩み解決にフォーカスされており、成約率が高い。 |
3. 百貨店の「金融進出」から学ぶマーケティング進化
現代の百貨店大手、特に高島屋や三越伊勢丹が「金融サービス」に注力している動きは、マーケティングの進化を示す具体例です。
【高島屋の動向:デパートから「金融百貨店」へ】
- サービス転換点: 商品販売だけでなく、資産運用に関する相談窓口を設置。
- 富裕層向けにプライベートバンクサービスを展開。
- SBI 証券と提携し、NISA や証券取引サービスを提供。
- 戦略的な動線: 「買い物つい で に 資産運用を相談する」という動線を構築。
- 従来の銀行・証券会社に行く心理的ハードルを下げ、「金融のカジュアル化」に成功。
- 積立サービス「スゴ 積み」など、購買活動と資産形成を結びつけることで、若年層を含む利用者を拡大。
【示唆されるマーケティングの進化】
| 従来(物売りの時代) | 現代(人・体験の時代) |
| 百貨店 = 物 を 売 る 場 所 | 百貨店 = 信 頼 や 体 験 を 売 る 場 所 |
| 価値の源泉: 商 品 力 | 価値の源泉: 人 の 魅 力 (声、肩書き、考え方) |
| 消費者行動: 商 品 選 択 | 消費者行動: 人 が 人 を 選 ぶ (意思決定の代行が価値) |
4. 中小企業が取り入れるべき「外商的アプローチ」
百貨店の外商ビジネスは、店舗を介さず顧客の自宅や会社に出向いて販売する、伝統的な営業スタイルです。これは、長期の信頼関係を基盤とする高収益モデルであり、中小企業や個人事業主にも応用可能です。
4-1. 泥臭い「訪問型」提案営業の導入
- 来店を待たない: 「来てください」ではなく、「伺います」の姿勢。
- 定期接触の設計: 例として、年 2 回の無料点検や暮らしの相談を兼ねて顧客宅を訪問する。
- 付加価値の提供: 売り込みではなく、「お困り事の解決」という名目で接点を持つことで、**「売ら れ な い 」**という安心感を醸成し、警戒心を解く。
4-2. 信頼資産構築のための施策
外商の成功の鍵は「商品力」ではなく**「信頼資産」**です。これを築くには、本業以外の価値提案が決定的な差別化要因になります。
| 要素 | 具体的な行動・事例 | 目的 |
| 情報収集力 | 顧客の趣味、家族構成、休日の過ごし方まで把握する。 | 顧客の潜在的な欲求や価値観の深い理解。 |
| 本業外の価値提供 | 農家であれば、野菜提供だけでなくレシピ提案や家庭菜園の相談にも乗る。 | 「あなただから買いたい」という状態を作り出す。 |
| 継続的な接触 | 2~3回以上は相談に乗るだけで、売り込みはしない。 | 信頼を積み重ね、最終的に相手からの「お願いします」を引き出す。 |
5. 「相談窓口」の設計方法:究極のリストを作る
最強のリスト(相談リスト)を作るためには、「相談窓口」が必須です。
【相談窓口の設計ポイント】
- 窓口の分離: 通常の問い合わせ窓口とは別に、「〇〇様 専用 相談チャット」などを開設し、特別感と安心感を与える。
- 心理的ハードルの低減: LINE や チャットなど、より手軽でスピーディーなツールを用いる。
- テーマ設定: 「何でも相談」ではなく、**「日常に役立つテーマ」**に絞る。
- (例:シニア向け「暮らし安心点検」、学習塾向け「進学準備お茶会」)
- 「売り込みなし」の明言: 相談はあくまで「サービス」であり、「営業ではない」と認識させることで、顧客の警戒心を完全に解除する。
この「相談リスト」に集まる顧客は、すでにあなたの知識や人柄を信頼し、**「意思決定の代行」を求めている状態です。彼らにとって、あなたの提案は「売り込み」ではなく、「最適なソリューション」**と認識されます。
本日のまとめ
SNS 時代だからこそ、ライバルがやらない**「泥臭いアプローチ」を徹底し、「信頼資産」を構築することが、長期的に勝ち残るための戦略となります。その具体的な第一歩として、「相談リスト」を集め、「相談窓口」**を設置することから始めましょう。

